超関数
詳しくは別項「超関数」で述べますが、 超関数という考え方では1点だけで値が∞になるような関数(を拡張したもの)を定義できます。 基本的なアイディアとしては、
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1点で値が∞になっても、その1点を含む任意の区間での積分の値が有限ならば OK ということにする。
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2つの超関数f, gの等値性は、任意の積分区間で∫
f(x)dx = ∫
g(x)dxが成り立つかどうかで決める。
という感じです。
これで∞の値を持つ関数(のようなもの)を定義できるわけですが、 これには欠点もあります。 積分によって関数の等値性を決めるため、 1点で値が異なっていても、積分値が同じならば区別がつかないことになります。 1点でも値が異なれば、関数としては別のものになりますが、 超関数としては区別がつきません。
例えば、以下の2つの関数f, gは関数論的には相異なるものですが、超関数論的には同じものになります。 (1点に限らず、可算無限個の点で異なる値を持つ2つの関数は超関数論的には同等。)
f(t) = t
g(t) =
{
t | (t≠0) |
1 | (t=0) |
δ関数
以下のような超関数を考えて見ましょう。
∫
δ(x)dx
=
{
b |
a |
1 | (区間(a, b)が 0 を含む) |
0 | (区間(a, b)が 0 を含まない) |
このような超関数は、通常の関数の極限として作ることが出来て、 例えば、 以下のようなにして作ることが出来ます。
fa(x)
=
{
| (-a/2 < x < a/2) | ||
0 | (それ以外) |
δ(x)
=
fa(x)
lim |
a → 0 |
この関数は、 x = 0 に置いて∞の値を持ちます。
まとめ
超関数という概念を導入することで、 1点でだけ∞になるような関数を考えることが出来ます。 ただし、全くのノーリスクで∞の概念を得られるわけではなく、 関数として1点で値が異なっていても、超関数としては区別がつかないという欠点もあります。